ハルダンゲル ヴァイオリン
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北欧ノルウェーの国民的楽器で、フィヨルドで有名なハルダンゲル地方で生まれた民族楽器「ハルダンゲルヴァイオリン」。
日本での琴や三味線に位置するこのヴァイオリンは、現地では「ハーディングフェーレ」(Hardingfele)と呼ばれています。 楽器には美しい真珠母貝や象嵌細工の花模様の装飾が施され、トップにはヴァイキングの時代の神の象徴「ドラゴン」、通常4本弦の下に、4本~5本の共鳴弦(アンダーストリング)がある事が特徴です。

この共鳴弦を持つ事で、ヴァイオリンとは異なる哀愁帯びた懐かしい音色を持ち、また共鳴弦をも調弦するスタイルは、ノルウェー独特のものです。

現地では神聖な楽器として、主に冠婚葬祭時に使用され、また日本でも人気の高いノルウェーの作曲家「グリーグ」も、この澄んだ音色に影響をうけ、多くの名曲を残しています。


ベルゲン博物館にてトップメーカーの一つの山瀬の楽器「Knut K Steinkjonndalen」と最古の「ヨースタ(Jaastad)」と共に
現在もノルウェーでは、4名ほどしかいないプロの職人が手造りでそれぞれ1年に2丁ほどしか制作出来ず、町の楽器店でも手に入らない幻の楽器ですが、現在日本では、代官山の弦楽器専門店「ミュージックプラザ」の庄司昌仁氏が、製作と修理を行っています。

楽器のルーツをたどりますと、現存する一番古いものでは1651年の楽器「ヨースタ(Jaastad)」で、現在もベルゲン(Bergen)の「ベルゲン博物館」に保存されています。

「ヨースタ(Jaastad)」の楽器は現在のものよりかなり小振りで、共鳴弦の数も2本と少なく製作されていました。 その後少しずつ改良を重ねられて、現在のハルダンゲルヴァイオリンの大きさはほとんどヴァイオリンと同じで、音色も大きく、共鳴弦は5本のものが人気です。

日本で初めて制作された「日本ハルダンゲルヴァイオリン」の製作者庄司昌仁氏と山瀬理桜。
日本で初めてリメイク製作された「日本ハルダンゲルヴァイオリン」の製作者庄司昌仁氏と山瀬理桜。
日本の弦楽情報誌「サラサーテ」でも紹介されました。
日本の弦楽情報誌「サラサーテ」でも紹介されました。



ガンメルダンス(ノルウェー民族舞踊)


ハルダンゲル地方で行われた「日本ハルダンゲル文化交流フェスティバル」での風景 。
ハルダンゲルヴァイオリンにとって、ガンメルダンス(ノルウェー民族舞踊)の存在は重要で、ハルダンゲルヴァイオリンの音楽はダンスと共に育まれました。
グリーグのピアノ曲のタイトルにもなっている、「ハリング」「ガンガル」や「スプリンガル」の表記は、実は全て民族舞踊のリズムの名前です。
現在も夏のお祭りや結婚式に、ハルダンゲルヴァイオリンの音色と共に、多くのノルウェーの人々がダンスを楽しみます。

日本でのハルダンゲルヴァイオリン

日本では、ヴァイオリニストの山瀬理桜が中心となった「ハルダンゲルヴァイオリン学院(Hardanger Violin Institute)」の、「JAPAN(Tokyo)グループ」がノルウェーでも認知されています。

ハルダンゲルヴァイオリンは楽譜がなく、日本の邦楽形式にも似た伝承楽器です。
現在日本で活躍するハルダンゲルヴァイオリン奏者達は、山瀬のレッスンを中心に、年に一回ほどは日本を訪れるノルウェーのハルダンゲルヴァイオリン奏者から学んでいます。
2011年からは「山瀬理桜 ハルダンゲルヴァイオリン スカラシップ」制度が現地ハルダンゲル自治体より認可され、またハルダンゲル自治区でも「国際ハルダンゲルヴァイオリン・マスタークラス」が始まりました。
スカラシップ合格者をはじめとした数名のハルダンゲルヴァイオリン奏者が育ち、日本で活動の場を広げており、今後の日本での益々の若手育成が期待されています。

現地の若手No.1奏者を招いての特別レッスン風景 Tokyoグループは、ノルウェー国営放送NRKの取材も受けました。
「山瀬理桜 ハルダンゲルヴァイオリン・スカラシップ」とは

第1期 山瀬理桜スカラシップ合格者(山瀬クリスティーナ静香)


山瀬クリスティーナ静香(Kristina Shizuka Yamase)

photo 山瀬理桜の姪で日本とノルウェーのハーフ。
故・ハールバル・クヴォーレ氏、現在は山瀬理桜氏、クヌート・ハムレ氏、フランク・ローランド氏等にハルダンゲルヴァイオリンを師事。
ハルダンゲルヴァイオリンの演奏のほか、北欧の童謡や子守唄などを、現地の独特の歌唱法を交えて披露する。
ノルウェーと日本やアジア各国のコンサート多数出演のほか、ノルウェー国営放送NRKや日本のノルウェー紹介のテレビにも多数出演。
2007年グリーグメモリアル記念で発売されたCD「オーロラの国のヴァイオリン」や、ビクターエンタテインメントで発売中の「フィヨルドの愛の唄」、またスカンジナビア政府観光局制作のノルウェーフィヨルドPVでも、その澄み切った歌声を披露し好評を博している。
2011年にはノルウェーハルダンゲル地方自治体のスカラシップにより留学し、ディプロマを取得。
日本語、英語、ノルウェー語の3ヶ国語を操り、通訳や翻訳でも活躍中。

第2期 山瀬理桜スカラシップ合格者

白石優香(Yuka Shiraishi)

photo 兵庫県立西宮高校音楽科を経て、京都市立芸術大学音楽学部卒業。同大学卒業演奏会に出演。
和歌山音楽コンクール第2位、若き獅子たちのジュニア音楽コンクール入賞、ドブリンペトコフ国際ヴァイオリンコンクール第3位、名古屋アンサンブルフェスタにおいて特別講師賞受賞。
これまで にヴァイオリンを松本尚三、稲垣美奈子、東儀幸、大谷玲子、中島慎子の各氏に師事。
2011年より山瀬理桜にハルダンゲルヴァイオリンを師事し、「オーロラクインテット」の一員として、スカンジナビア政府観光局や北欧関連のイベントに多数出演。また、ノルウェーハルダンゲル地区で開催された「日本ハルダンゲル文化交流フェステイバル2012」にも参加。
2013年4月には「山瀬理桜 ハルダンゲルヴァイオリン・スカラシップ」第2期生として、西ノルウェーハルダンゲル地区へ短期留学し、ハルダンゲルヴァイオリンの巨匠クヌート・ハムレ氏やフランク・ローランド氏に師事、その様子は現地新聞や国営放送NRKにも紹介された。

水澤真澄(Masumi Mizusawa)

photo 国立音楽大学器楽学部ヴァイオリン科を卒業。
在学中海野義雄氏に師事。
米国に渡りパシフィックユニオンカレッジ音楽学部大学院修了。
10年間米国で演奏活動、ヴァイオリン指導などを経て帰国し、横浜市を中心にソロやアンサンブルの演奏活動をしている。
2010年より山瀬理桜にハルダンゲルヴァイオリンを師事し、2013年4月には「山瀬理桜 ハルダンゲルヴァイオリン・スカラシップ」第2期生として、西ノルウェーハルダンゲル地区へ短期留学し、ハルダンゲルヴァイオリンの巨匠クヌート・ハムレ氏フランク・ローランド氏に師事、その様子は現地新聞や国営放送NRKにも紹介された。

第3期 国際ハルダンゲルヴァイオリンマスタークラス参加

若宮百香(Momoka Wakamiya)

若宮百香 桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部を卒業。
ヴァイオリンで第59回全日本学生音楽コンクール、山手の丘音楽コンクール2011に入選。ハルダンゲルヴァイオリンで第14回大阪国際音楽コンクールSectionⅡに入選。
ヴァイオリンを石井志都子氏、ピアノを中川賢一氏、ハルダンゲルヴァイオリンを山瀬理桜氏に師事。
これまでに、多くのコンサートやイベントでヴァイオリン演奏を行い、 近年では、Nordic Festival 2015 Christmas、北欧ファミリーDAYS、八戸パークホテル開催の「北欧展」、「SADI 北欧建築・デザイン協会」などの北欧イベントでハルダンゲルヴァイオリンの演奏も行っている。
2016年9月に西ノルウェーのハルダンゲルへ短期留学し、「国際ハルダンゲルヴァイオリン・マスタークラス(Master Class Hardanger International2016)」に参加。ハルダンゲルヴァイオリンの名手フランク・ローランド氏、ライフ・リッグ氏等に師事。
同年12月14日には、ノルウェー王国大使館内オーロラホールで「若宮百香 ハルダンゲルヴァイオリン・ガラコンサート」(主催:日本ハルダンゲルクラブ)が開催された。


日本でのハルダンゲルヴァイオリンのメンテナンス

現在日本では、代官山の弦楽器専門店「ミュージックプラザ」の庄司昌仁氏が、ハルダンゲルヴァイオリンの製作と修理を行っています。

この画期的な出来事は、ノルウェーの大手新聞「Aftenposten」でも大きく取り上げられました。
<掲載記事を日本語で見る>


ハルダンゲルヴァイオリンの製作者

ノルウェーで一番有名なハルダンゲルヴァイオリンの製作者は、へランド(Helland)です。
へランドは、ハルダンゲルヴァイオリン界のストラディヴァリウスともいわれるトップメーカーで、多くのハルダンゲルヴァイオリン奏者を魅了する楽器を生み出して来ました。

へランド一族 (Helland Family)
東ノルウェーのテレマルク(Telemark)地方のBøで、14のハルダンゲルヴァイオリンメーカーを約200年に渡って生み出した家系。
ハルダンゲルヴァイオリンを作成するのと同時に、ハルダンゲルヴァイオリンの進化にも貢献し、家系はその後3つに分かれ、Helland, Steintjønndalen, Haugen となります。
Hellandメーカーは4世代に分けられ、Jon Eriksonがスウェーデンとの戦争からテレマルク(Telemark)のBøに戻った1814年までさかのぼります。彼はHelland地域の地主の娘と結婚し、土地の名前を受け継ぎました。
そこで彼はハルダンゲルヴァイオリンを作り始め、最初のHellandヴァイオリンは1820年頃に作られたと言われています。
彼の息子のErik Jonsson Hellandの代からHellandメーカーは有名になり、彼はハルダンゲルヴァイオリンを、より現代のハルダンゲルヴァイオリンに近い形のものへ進化させました。
1600年代の最初のハルダンゲルヴァイオリンは、もっと小型の楽器で、地域の人々の家の中で演奏されることに適していましたが、1800年代になると、ノルウェー全体で「他のスカンジナビア諸国とは違う個性を出していくべきだ!」という考えが広まり、ノルウェー独自の伝統が推奨される様になりました。
突然ハルダンゲルヴァイオリン奏者は、大きなコンサートホールでの演奏を依頼され、会場の一番後ろまで届く大きな音の出る楽器が必要になりました。
Hellandはこの動きに挑戦し、Hellandのハルダンゲルヴァイオリンはより大きく、厚く、平たくなり、現在のハルダンゲルヴァイオリンのように進化し、ヨーロッパのヴァイオリンにも似た形状になりました。
Knut Eilefsson Steintjønndalen (1850-1902)も、ノルウェーで最も有名なハルダンゲルヴァイオリンメーカーの一人です。
Erik Jonsson Hellandの兄弟のEilef Jonsson Steintjønndalen(1821-1876)の息子であり、父親は結婚の際に東ノルウェーのテレマルク(Telemark)地方BøのSteintjønndalenに移住し、その土地の名前を受け継ぎました。
息子のKnut K. Steintjønndalenは、Helland- Steintjønndalen系列で最後の、有名なハルダンゲルヴァイオリンメーカーとなりました。



日本の「在ノルウェー王国大使館」で開催された「ハルダンゲルヴァイオリン展示会」の様子

ハルダンゲルヴァイオリン展示会資料



※ハルダンゲル ヴァイオリン/ハルダンゲル バイオリンは山瀬理桜の登録商標です。

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